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「食事は野菜から食べ始めるのが良い」というのは、聞いたことがある方も多いはず。
このまず野菜から食べる食べ方のことを「ベジファースト」といい、実践する人も多くなってきています。
実は、野菜に「あるもの」を追加することで、血糖値の急上昇をより効果的に抑えられるようになるんです!
さらに野菜の選び方にも、知っておきたい重要なポイントがありました。
今回は、より効果的なベジファースト実践のための最新情報と、毎日の食事でぜひ取り入れていただきたい食べ方の工夫についてお伝えします。
(なお、食事以外にも血糖値を上げ下げする要素はたくさんあります。Webに情報掲載していますので、こちらもご参照ください。 )
重要なのは「たんぱく質」と「脂質」を一緒に食べることだった!
日本人の最近の食事傾向と、食物繊維の選び方を解説します。
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ベジファーストを実践するなら、より効果的な内容がおすすめ。実はベジだけではない、「たんぱく質」「脂質」などの「たんぱく源ファースト」を取り入れることで、食後の血糖値の上昇を抑える効果がさらにアップするんです1)。
1) 摂取栄養素と高血糖
4.食後血糖と栄養素摂取の順番
矢部大介ら 〔糖尿病 59(1):30~32,2016〕
たんぱく質が加わることで、腸からインクレチンというホルモンが分泌され、胃の動きがゆるやかになりその後の糖の急上昇も抑えられることがわかってきています。
脂質はカロリーが高いと避けられがちでしたが、消化をゆっくりにすることから、質と量を意識して上手に摂ることも重要です。青魚の脂質や植物性油脂がオススメ、肉類・卵・乳製品の脂質は控えめが良いでしょう。
つまり、ランチの最初に野菜サラダを選ぶなら、つまり、ランチの最初に野菜サラダを選ぶなら、「野菜だけ+ノンオイルドレッシング」よりも、「お肉やシーチキンが入っているもの+オイルドレッシング」のほうが、消化吸収がゆっくりになり、血糖値の急上昇を抑えるのに効果的といえます。のほうが、消化吸収がゆっくりになり、血糖値の急上昇を抑えるのに効果的といえます。
また、流行の糖質制限にも落とし穴が。
もちろん糖質をとりすぎているなら控えることが望ましいのですが、必要以上に減らしすぎてバランスを崩す人も増えています。食事以外で血糖値を上げ下げする要素はたくさんあります。
単に食事からの糖質を減らすのではなく、血糖値の上昇をおさえる要素を確実に増やすことを考えましょう。
「糖質オフ」にばかり注目されがちですが、まずは食物繊維をプラスする「繊維オン」が重要! 「ベジファースト」は、食物繊維を含む野菜から食べるという考え方ですので、足りない繊維を補うために「サラダから食べています!」という心がけはとっても素晴らしいことです。 「ベジ+たんぱく源ファースト」で、さらに効果アップを狙いましょう!
ただ単に野菜から食べる「ベジファースト」だけではなく、重要なのはゆっくり良く噛んで食べることと、たんぱく源(たんぱく質、脂質)をプラスすることで、ゆっくりした消化吸収につなげることです。そのためにはベジ+たんぱく源ファーストのおかずをまず胃に入れることがポイントになります。その後、5~10分してから主食(例:お米やパンなど)を食べましょう。
良く噛んで食べるためのコツは「口に一度にがばっと入れず、おちょぼ口で食べる」「音がなくなるまでモグモグすることを意識する」「鼻の奥に抜ける香りを楽しむ」こと。自然と減塩にもつながります。五感をフル活用して食事を楽しんでくださいね!
食後の血糖値が急上昇する「血糖値スパイク」。血糖値スパイクは動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳卒中による突然死のリスクを高めると考えられています。最近の研究では、この危険な血糖値スパイクが、健康診断で血糖値が正常な人にも起きていることが明らかになっています。
食べ方の工夫で血糖値スパイクを防いでいきましょう!
さらにもう1つ、効果的な「ベジファースト」のために知っておきたいポイントがありました。それは、野菜に含まれる食物繊維の種類や豊富さの重要性です。効果的な野菜の選び方・組み合わせ方を知って、より効果的にベジファーストを実践しましょう!
炭水化物のうち、エネルギー源として利用されるのが糖質、ほとんど利用されない難消化性の多糖類が食物繊維です。
食物繊維には水溶性、不溶性がありそれぞれはたらきが異なります。海藻やネバネバした野菜(オクラ、モロヘイヤ)などに含まれる水溶性食物繊維には、糖やコレステロールの吸収を穏やかにする作用があります。また、穀物や根菜に含まれる不溶性食物繊維の主なはたらきは便通の改善ですが、咀しゃくを増やすためよく噛んでゆっくり食べることで早食いの防止につながり、食後の血糖上昇を抑えてくれます。
こんなにいいことづくめでも、日本では長年食物繊維不足が続いています。
「日本人の食事摂取基準2020年版(厚生労働省)」で食物繊維は1日20gが目標量なのですが、実際の摂取量は、平成30年国民健康・栄養調査の結果より、14.4g(水溶性3.4g、不溶性10.4g)と足りていません。
不足の主な原因は、加工精製された穀物が増え、一方で野菜が減っていること。
忙しいことを理由に、噛まずに早く食べられる液体・やわらかい食べ物が好まれているのも影響しています。
「繊維オン」の実践方法はただひとつ「食物繊維をプラスする」だけなのですが、食材の選び方にコツがあります。食物繊維の量はよく食品成分表をもとに「100gあたり」で比較されていますが、実際に食べるメニューの1人前の量(常用量)で考えることが現実的です。また、その食材が買いやすく使いやすいことも大切です。
サラダでなくても主食や主菜(メインのおかず)、副菜(小鉢)汁物でも繊維オンは可能です。例えば、大麦には水溶性・不溶性両方の食物繊維両方が多く含まれています。糖質は血糖を急上昇・大幅上昇させないように上手に摂ることが重要ですから、白米に大麦をたっぷり混ぜることで、単にご飯(米)を抜いて全体のバランスを崩すより安心です。なお、玄米は消化が悪いため、早食い傾向の方、お子さん、高齢の方、胃腸が弱い方はあまり向きませんのでご注意ください。
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
食品成分DB(文部科学省)
カカムカム系ネネバネバ系特に取り入れたい食材です。
区分 | 食品 | 常用量目安 (可食部重量) |
備考 | 食物繊維 総量(g) |
水溶性食物 繊維(g) |
不溶性食物 繊維(g) |
---|---|---|---|---|---|---|
穀物 | 白米(めし) | 茶碗1杯(150g) | 0.9 | Tr | 0.9 | |
カ玄米(めし) | 茶碗1杯(150g) | 2.1 | 0.3 | 1.8 | ||
カ麦ごはん | 茶碗1杯(150g) | 白米70% 大麦30% |
1.9 | 1.1 | 0.7 | |
カ大麦 | 大さじ1杯(15g) | 茹でると2.8倍に | 1.3 | 0.9 | 0.4 | |
野菜 | きゅうり | 1/2本(60g) | 0.7 | 0.1 | 0.5 | |
レタス | 葉2枚(70g) | 0.8 | 0.1 | 0.6 | ||
キャベツ | 葉2枚(90g) | 1.6 | 0.4 | 1.3 | ||
ほうれん草 | 1/2束(100g) | 2.8 | 0.7 | 2.1 | ||
ブロッコリー | 5房(100g) | 4.4 | 0.7 | 3.7 | ||
ミニトマト | 5個(100g) | 1.4 | 0.4 | 1.0 | ||
ネオクラ | 5本(50g) | 2.5 | 0.7 | 1.8 | ||
ネモロヘイヤ | 1/2束(50g) | 3.0 | 0.7 | 2.3 | ||
ネ長芋 | 80g | 短冊 1小鉢分 |
0.8 | 0.2 | 0.6 | |
大根 | 30g | 0.4 | 0.2 | 0.2 | ||
カ切干大根 | 乾燥 10g | 2.1 | 0.5 | 1.6 | ||
カごぼう | 50g | きんぴら 小鉢1杯分 |
2.9 | 1.2 | 1.7 | |
海藻 | わかめ | 乾燥 2g | 味噌汁 1杯分 |
0.7 | - | - |
ひじき | 乾燥 7g | 煮物 小鉢1杯分 |
3.6 | - | - | |
糸寒天 | 乾燥 2g | ひとつまみ | 0.9 | - | - | |
ネめかぶ | 40g | 1.4 | - | - | ||
ネもずく | 30g | ※パックの液含まず | 0.4 | - | - | |
きのこ | えのき | 20g | (1袋 100g) | 1.5 | 0.7 | 0.8 |
しめじ | 20g | (1パック 100g) | 1.1 | 0.5 | 0.6 | |
まいたけ | 20g | (1パック 100g) | 0.7 | 0.1 | 0.6 | |
エリンギ | 30g | 中1本 | 1.0 | 0.1 | 1.0 | |
しいたけ | 生2個(40g) | 1.7 | 0.2 | 1.5 | ||
きくらげ | 乾燥1g | 0.6 | 0.0 | 0.6 |
このような「繊維オン」+「たんぱく源ファースト」を手軽に実践するためにおすすめしたい方法が、野菜+たんぱく源を使った小鉢を最初に食べる「ワン小鉢ファースト」です。 以下にご紹介する、 Aネバネバ系、 Bカムカム系、 Cたんぱく源の3タイプの食材を組み合わせることで、血糖の急上昇を防ぐ「血糖トレンドレシピ」の小鉢になります。ぜひ取り入れてみてください!
オクラ・モロヘイヤ・めかぶ・もずく・長芋など
切干大根・きくらげ・大麦など
たんぱく質:ツナ缶・鯖缶・大豆・豆腐・油揚げ・豆乳など脂質:アボカド・植物油などの植物性か青魚の油がおすすめです
※ 肉・卵・乳製品の飽和脂肪酸は摂りすぎるとコレステロール上昇の原因となります。
料理ブロガーとしておなじみの幸せ料理研究家こうちゃん(相田幸二さん)開発、手軽にできておいしい「血糖トレンドレシピ」をご紹介します!
おすすめ食材の「たんぱく源」に、カムカム系の食材で「繊維オン」して、血糖トレンドをゆるやかにするレシピです♪
鯖水煮缶1缶(200g)
トマトソース缶1缶(295g)
しめじ100g(子房にわける)
おろしにんにく少々
コショウ少々
粉チーズ小さじ2(約4g)
パセリ少々(みじん切り)
エネルギー 290kcal
たんぱく質 27.2g
脂質 12.5g
炭水化物 16.8g
食塩相当量 2.1g
食物繊維総量 3.2g
− 水溶性食物繊維 0.7g
− 不溶性食物繊維 2.5 g
1.鍋にトマトソース缶と鯖の水煮缶の汁、しめじ、にんにくを加えて火にかけ、5分ほど混ぜながら煮詰め、コショウで味を調えます。
2.鯖の身を加え、崩さないように温まるまで火にかけたら、ココットなどに盛り付けます。
3.上に粉チーズをのせてトースターに3分ほどかけ、チーズに焼き色が付いたら、パセリを散らして出来上がり。
「血糖トレンド」とは、血糖値を点(ある時点の測定値)ではなく線(連続測定の値)で把握するもので、専用の機器を使って24時間連続測定することにより、血糖値スパイクなどリスクの高い急激な血糖変動を把握することができます。
急激な血糖の上がり下がりは、動脈硬化を進行させ、脳卒中や心筋梗塞などのリスクを高めるため、「血糖トレンド」の波をなるべくなだらかにすることが、健康管理の上では重要になります。今回ご紹介した、「ベジ+たんぱく源ファースト」や「繊維オン」は、急激な血糖上昇を抑えるのに有効な食べ方です。
血糖の一日の変化をみることで、どの食事を中心とした生活習慣の影響を受けて血糖がどのように変動したのかを知ることができます。
血糖の上がり方・下がり方は、食事に含まれる糖質の量だけでなく、栄養素の種類や量、バランス、食べ方などによっても大きく変わります。
血糖トレンドをみることで、食事の内容を考えたり、食事をとる時間を工夫するなど、血糖を適切にコントロールするための対策を立てやすくなります。
なお、血糖トレンドの上下には、食事以外にも様々な要因が複雑に関わっています。
例えば、たばこや睡眠不足、ストレスなどは血糖を上げる作用があり、反対に適度な運動は血糖を下げる作用があります。現代社会では便利さが浸透するにつれ、食物繊維不足や活動不足など、血糖を下げる要素が足りていないのが現状です。血糖を上げる要素を減らすだけでなく、まず血糖を下げる要素を積極的に増やすことがポイントです。
17歳でやせの2型糖尿病を発症、食健康の重要性を体感し管理栄養士の道へ。「生活習慣病の発症と重症化」双方の予防に重点を起き、フリーランス栄養士として医療機関での栄養相談、講演・セミナー、執筆、栄養士の教育などに従事。2018年11月より、とくだ内科クリニックにて栄養相談・療養相談を担当。
17歳でやせの2型糖尿病を発症、食健康の重要性を体感し管理栄養士の道へ。「生活習慣病の発症と重症化」双方の予防に重点を起き、フリーランス栄養士として医療機関での栄養相談、講演・セミナー、執筆、栄養士の教育などに従事。2018年11月より、とくだ内科クリニックにて栄養相談・療養相談を担当。
16歳からホテルの和食部門で板前修業をし、2005年に料理レシピのブログを開始。ヤフーブログランキングで常に上位を維持するほどの人気を博し、レシピ本「こうちゃんの簡単料理レシピ」を発売。仙台を拠点にテレビやラジオ、雑誌などで活躍するほか、講演活動も行っている。2018年1月に1型糖尿病であることを公表。
16歳からホテルの和食部門で板前修業をし、2005年に料理レシピのブログを開始。ヤフーブログランキングで常に上位を維持するほどの人気を博し、レシピ本「こうちゃんの簡単料理レシピ」を発売。仙台を拠点にテレビやラジオ、雑誌などで活躍するほか、講演活動も行っている。2018年1月に1型糖尿病であることを公表。