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●血糖トレンドでわかることは、血糖変動だけではない
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●血糖トレンドデータを集約したAGPを活用すれば、血糖管理についてより詳しい情報を知ることができる
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●持続グルコース測定(CGM)による血糖管理を始めた人、CGMによる血糖管理についてもっと知りたい人におすすめの記事
血糖トレンド
血糖トレンド
血糖変動をリアルタイムに記録した血糖トレンドでわかることは、血糖の上がり下がりだけではありません。血糖値が目標範囲内に収まっている時間をもとに、血糖管理がどれくらいうまく行っているかを確認することもできます。血糖管理の質をみるには、以下のような指標が使われます。
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●TIR(Time in range) :24時間の中で、グルコース値が目標範囲内に収まっている時間の合計
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●TAR(Time above range) :24時間の中で、グルコース値が目標範囲を上回っている時間の合計
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●TBR(Time below range) :24時間の中で、グルコース値が目標範囲を下回っている時間の合計
しかしTIR、TAR、TBRだけでは、1日の中でどの時間帯に低血糖や高血糖が発生するかまではわかりません。
そこで開発されたのが、数日間(14日間以上が推奨されています1))の血糖トレンドを1つのグラフで確認できるようにした、AGP(Ambulatory Glucose Profile)という手法です。
AGPからは、低血糖・高血糖が起きているかどうかに加え、1日の中でどの時間帯に起こりやすいかがわかります。他に、1日の中でどれくらい血糖が変動しているか、日によって血糖変動の幅にどれくらい違いがあるかも確認できるので、血糖管理全体の傾向を把握することができます。
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①低血糖のリスクの確認低血糖のときはあるか、それはどの時間帯に起こるのかを確認します。
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②目標範囲との比較青色帯・水色帯ともに目標範囲内に収まっていることが多いかを確認します。目標範囲外の箇所では、低血糖なのか、高血糖なのかも確認します。
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③中央値曲線の変化中央線の上下動が大きい箇所は、1日のうちで血糖変動が激しい時間帯であることを示します。
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④各時間の曲線の上下幅この幅が広い箇所は、その時間帯の血糖値が日によってばらついていることを示します。
監修:岡山済生会総合病院 内科・糖尿病センター 副センター長 利根 淳仁 先生
1)Riddlesworth TD, et al.: Diabetes Technol Ther. 2018;20(4):314-316.
【参考】
廣田勇士: 日本先進糖尿病治療研究会雑誌 2022;16(1):17-27.
大村有加,西村理明: Calm~Approach to Glycemic Variations~ 10(1): 8-13, 2023.