血糖トレンド

血糖トレンドについてQ&A

q1 血糖トレンドとHbA1cは、どのように関連しているのですか?

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1日の中で血糖値が目標範囲内であった時間と、HbA1cは関連するとされています。 血糖トレンドの記録の中で、血糖値が目標範囲内に収まっている時間の合計をTIR(Time in range)といいます。このTIRが測定時間全体の70%であることは、HbA1cが7%であることに相当するとされています1)。またTIRが10%増えるごとに、HbA1cは0.5%ずつ減っていくとされています。TIRを増やすことを、血糖管理の目安にするとよいでしょう。

q2 血糖トレンド、と聞くとなんだか難しそう。高齢者でも使えますか?

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ご家族や介護の方とデータ共有することができるので、理解の難しい高齢の方にも安心です。 患者さんご本人では血糖トレンドの理解や機械の操作が難しい場合は、デジタルヘルスツールを使って、ご家族や介護の方とデータ共有してみましょう。データ共有することで、患者さん以外の方も血糖トレンドを確認できるため、思わぬ低血糖を予防することができます。高齢の患者さんは低血糖症状を自覚できないことがあり、気づかないまま低血糖を繰り返してしまうリスクがあります。低血糖予防のため、高齢の患者さんには、血糖トレンドを積極的に活用することをおすすめします。

q3 同じような生活をしているのに、血糖トレンドの形が毎日違うのはなぜですか?

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血糖トレンドは、食べたものの内容や運動をしたかどうかで形が変わります。 血糖変動をリアルタイムで記録する血糖トレンドには、その日の食事や運動の影響が反映されます。そのため、血糖トレンドの形が毎日少しずつ異なることは、不自然なことではありません。
この形の違いを利用すれば、食事・運動と血糖変動の関係を理解することができます。日頃から食べたものや運動の内容を記録しておいて、後で血糖トレンドと見比べてみましょう。自分にとって、血糖の上がりやすい、または上がりにくい食べ物や、血糖を下げる効果のある運動が見つかるかもしれません。

q4 低血糖以外に、血糖トレンドで見つけやすいものはありますか?

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血糖値の急上昇や、インスリン注射の不足を示す現象を見つけることができます。 低血糖以外に特徴的な血糖トレンドの変化には、血糖値スパイク(食後に血糖値が一時的に急上昇すること)、暁現象(成長ホルモンやコルチゾールなどインスリンの効きを弱めるホルモンが夜中に分泌されるため、早朝に血糖値が上昇する現象)があります。血糖値スパイクは動脈硬化の進行を早めるといわれており、暁現象はインスリン注射の量が足りていないことを示しているとされます2,3)。どちらも、血糖トレンド上の変化を見ることで確認ができるものです。
ほかにも血糖トレンドでは、血糖変動の幅を確認することで血糖管理そのものの「質」が良いか悪いかを判断することもできます。

q5 まだインスリン注射を始めていなくても、血糖トレンドを活用したほうがいいのでしょうか?

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どのような人でも、血糖変動の理解や血糖管理の改善に血糖トレンドを活用することができます。 食事・運動療法のみ、または飲み薬だけで糖尿病の治療を行っている人でも、血糖トレンドを活用することで血糖管理の改善が期待できます。
使用方法や必要な費用など、詳しい情報については主治医に相談してください。

監修:岡山済生会総合病院 内科・糖尿病センター 副センター長 利根 淳仁 先生
1)Battelino T, et al.: Diabetes Care. 2019;42(8):1593-1603.
2)関根里恵: 糖尿病ケア+. 2023;20(1):25-27.
3)三橋一輝ほか: 糖尿病ケア. 2016;13(4):307-309.

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