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●血糖トレンドを把握することは、糖尿病を治療していく上で大きなメリットとなる
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●血糖トレンドを見ると、食事や運動による血糖の変化、睡眠中の血糖変動、血糖管理の質がわかる
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●持続グルコース測定(CGM)による血糖管理を始めた人、始めることを検討している人におすすめの記事
血糖トレンド
血糖トレンド
血糖トレンドは、食べたものと血糖上昇の関係を理解するのに役立ちます。
例えば牛乳やチーズなどのタンパク質から食べると食後の血糖値の上がり方はゆるやかになる1)など、普段の食生活改善のヒントになりそうなことがわかります。
また、1日1回の有酸素運動でその日1日の血糖値の上がり方が緩やかになる、ということも血糖トレンドで確認されています2)。
血糖トレンドを見れば、日々の食事の内容や運動する時間の工夫など、適切な血糖管理のための対策が立てやすくなります。
血糖自己測定(SMBG)では、測定の操作ができない睡眠中の血糖値を知ることはできません。しかし血糖トレンドを見れば、睡眠中に低血糖を起こしているかいないかがすぐにわかるため、寝る前に補食をとるなどの対策をすることができます3)。
最近の研究では、血糖変動の幅が大きいと網膜症、腎症、末梢神経障害などを発症するリスクが高まることがわかっています4, 5)。
HbA1cで目標を達成していても、血糖の上がり下がりの幅が大きければ、実際の血糖管理は質の悪いものとなっているかもしれません。
血糖トレンドなら、HbA1cには反映されないような血糖変動もわかるため、網膜症、腎症、末梢神経障害などの合併症予防のための対策をとることができます。
またアプリによる家族とのデータ共有、主治医とのデータ共有など、デジタルヘルスツールを活用した効率的な治療が可能になることも、血糖トレンドのメリットの一つです。
監修:岡山済生会総合病院 内科・糖尿病センター 副センター長 利根 淳仁 先生
1)Smith K, et al.: BMJ Open Diabetes Care 2022; 10: e002820.
2)van Dijk JW, et al.: Diabetes Care. 2013;36(11):3448-3453.
3)小野百合:日本医事新報. 2020;5019:18-30.
4)Wakasugi S, et al.: BMJ Open Diabetes Res Care. 2021;9(1):e001923.
5)Pan J, et al.: J Diabetes Investig. 2022;13(2):328-335.