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●新しい血糖管理指標として、血糖値の変動を示す「血糖トレンド」が注目されている
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●糖尿病では、血糖トレンドの幅を小さくすることが重要
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●血糖トレンドは、持続グルコース測定(CGM)で確認することができる
血糖トレンド
血糖トレンド
血糖トレンドとは、血糖値の変動パターンのことです。従来から用いられているHbA1c(直近1~2か月の平均血糖値を反映した指標)とは異なり、リアルタイムでの血糖の動きを示したものです。
正常な状態では、食事で糖質を摂取した後の血糖トレンドは上昇しますが、インスリンの働きで元のレベルまで下がり、それ以外の時間もインスリンによってほぼ一定のレベルに保たれています。
糖尿病のある人ではインスリンの働きが悪いため食後高血糖になりやすく、また薬の影響で低血糖を起こしやすい状態になっているため、血糖の変動幅は大きくなっています1)。そのため食生活の改善や適切な身体活動、また血糖を下げるお薬により、血糖トレンドの幅を小さくすることが重要です。
これまで血糖値の確認に用いられていた血糖自己測定(SMBG)という方法では、測定した時点での血糖値しかわからなかったため、測定していないときに血糖がどう変動しているか、すなわち血糖トレンドを確認することができませんでした。
しかし持続グルコース測定(CGM)を使うことで、1日24時間の血糖トレンドを記録し、線のデータとして表すことができるようになりました。
それにより、SMBGだけでは気づくことのできなかった高血糖や低血糖の存在を確認することができます2)。
血糖トレンドに着目した新たな血糖管理が、いま注目を集めています。
監修:岡山済生会総合病院 内科・糖尿病センター 副センター長 利根 淳仁 先生
1)日本医療研究開発機構: 成果情報 大きな血糖変動が血管硬化に関連することを明らかに―糖尿病治療における血糖変動管理の重要性―,
2021年1月15日更新. https://www.amed.go.jp/news/seika/kenkyu/20210115-02.html(2024年4月19日アクセス).
2)小野百合:日本医事新報. 2020;5019:18-30.