糖尿病の治療

糖尿病の合併症

ここがポイント
  • 糖尿病の合併症には、インスリン不足による急性のものと、高血糖が続くことによる慢性のものがある
  • どちらも、重症化すると生命に関わるおそれがあるため、適切に対処したり、予防することが重要
  • 糖尿病と診断された人、家族に糖尿病がある人におすすめの記事

糖尿病の急性合併症

  • 糖尿病性ケトアシドーシスインスリン不足によりケトン体(脂肪を分解して生きるためのエネルギーとして使う際に生成されます)という物質が血液中に極端に増え、血液が酸性になった状態です。悪化すると、死に至ることもある合併症です。
  • 高浸透圧高血糖状態600mg/dL以上の著しい高血糖と極度の脱水が特徴の急性合併症で、しばしば意識障害を伴います。脱水や電解質異常が心臓や腎臓などの重要な臓器に負担をかけ心不全や脳梗塞、心筋梗塞などを引き起こす可能性があるため、直ちに適切な治療が必要です。

糖尿病の慢性合併症

  • 細小血管症:細い血管がダメージを受けて起きる合併症目の障害である糖尿病網膜症、腎機能が次第に低下していく糖尿病性腎症は、進行するとそれぞれ失明や人工透析に至る可能性があるため、良好な血糖管理はもちろん、眼科医・腎臓専門医の診察を受けることも重要です。糖尿病性神経障害では、運動神経の障害による足のしびれや知覚の変化、自律神経の障害による便秘、下痢、立ちくらみなどさまざまな症状がおこります。
  • 大血管症:大きい血管がダメージを受けて起きる合併症心臓や脳の太い血管の障害による合併症で、脳梗塞や心筋梗塞など生命に関わる病気を起こすリスクに直結します。ほかに、足の動脈が狭くなって血流が悪くなることによって起きる末梢動脈疾患も、大血管症の一つです。末梢動脈疾患は、進行すると足の痛みで歩きづらくなったり、足の傷が治りにくくなって壊死してしまったりすることがあります。

細小血管症と大血管症の覚え方として、「しめじ」と「えのき」という言葉があります。
ぜひ覚えて、日ごろの健康チェックに役立てましょう。

細小血管症 大血管症

監修:岡山済生会総合病院 内科・糖尿病センター 副センター長 利根 淳仁 先生
【参考】日本糖尿病学会編著: 糖尿病治療ガイド2022-2023. 第1版.東京: 文光堂; 2022.
厚生労働省:e-ヘルスネット 糖尿病神経障害. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-037.html(2024年4月17日アクセス).
糖尿病情報センター:合併症 腎症. https://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/060/070/01.html(2024年4月17日アクセス).
日本血管外科学会:血管の病気(血管病)について 末梢動脈疾患って? https://www.jsvs.org/common/masyo/index.html(2024年4月17日アクセス).

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