糖尿病の基本

糖尿病の原因

ここがポイント
  • インスリンが十分にない、あるいは十分に働かないと、血糖値が上がる
  • インスリンを十分に働かせるには、生活習慣の改善が重要
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「インスリンが十分にない、あるいは十分に働かない」って、どういうこと?

インスリンは、血糖を下げる唯一のホルモン。糖尿病のある人は、インスリンが十分にない、あるいは十分に働かないために、処理しきれなかった糖が血液中にあふれ、いわゆる高血糖の状態が続いてしまいます。
糖尿病のある人でインスリンが十分にない、あるいは十分に働かない理由は、以下の2つです。

  • インスリンの分泌量が少ない「インスリン分泌低下」膵臓で合成・分泌されるインスリンの量が十分でないこと。血液中の糖を細胞内に取り込むための人手が足りないため、血液中に糖があふれてしまいます。
  • インスリンが分泌されていても働きにくい「インスリン抵抗性」インスリンが、分泌されている量に見合った働きができない状態。血液中の糖を細胞内にうまく取り込めないため、血液中に糖があふれてしまいます。
「インスリン分泌低下」イメージ 「インスリン抵抗性」のイメージ

インスリンを十分に働かせるには?

「インスリン抵抗性」の背景には、遺伝のほか、肥満や運動不足、脂肪の多い食事、ストレスなどの環境要因が深く関わっています1)。一方の「インスリン分泌低下」は、主に遺伝的要因の影響が大きいとされています1)
もともとインスリンを分泌する能力が低い日本人には、インスリン分泌低下が原因の2型糖尿病が多いといわれています2)。そのため、日本人はそこまで肥満ではなくても2型糖尿病になりやすいのです。
しかし食生活の欧米化によって日本人にも肥満は増加しており、糖尿病のある人の平均BMI(※)は、ここ20年で1ポイント近く上昇しています 3)
体質は変えられませんが、肥満は、生活を見直すことで予防が可能です。肥満を予防してインスリン抵抗性の増加を防ぎつつ、血糖値を上げすぎないような生活を送ることが、インスリンを十分に働かせることへの近道だと考えられます。

  • 肥満度を表す指標で、体重(kg) ÷[身長(m)2]で求められます。日本ではBMI25以上は肥満とされます。

監修:岡山済生会総合病院 内科・糖尿病センター 副センター長 利根 淳仁 先生
1)日本内分泌学会: 2型糖尿病. 2024年4月閲覧. https://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=93
2)稲垣暢也: 日内会誌. 2016;105(3):396-401.
3)糖尿病データマネジメント研究会: 2022年度基礎集計資料. 2024年4月閲覧. http://jddm.jp/public-information/index-2022/

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