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ニュースレター

【準備号vol.1】

「寒くなると部屋にこもりがちで運動不足に…」
「年末年始は外食の機会が多く、ついつい食べ過ぎてしまう…」

ついつい食べ過ぎてしまう年末年始、血糖値が急上昇するリスクあり!!
年末年始の定番メニュー、食べ方のコツをご紹介!

いよいよ本格的な冬の季節が到来。風邪やインフルエンザの流行に気を付けたい季節ですが、実はこの時期、血糖値が急上昇するリスクが高い時期でもあるんです。

年末年始の定番メニューである、クリスマスや忘年会のごちそうや年始のおせちなどには、血糖値上昇のリスクがたくさん。さらに冬場にありがちな運動不足や食べ過ぎなどの生活習慣も重なり、知らず知らずのうちに血糖値スパイクといわれるような急激な血糖変動を起こしてしまっているかも…。

血糖トレンド委員会では、血糖コントロールの新しい考え方である「血糖トレンド」の視点から、管理栄養士の監修による、年末年始のメニューに関する注意点や食べ方のコツをご紹介します!

血糖トレンドNews Letter Vol.1 TOPICS

1.食べ過ぎがちな年末年始の食事・・・食べ方の工夫で血糖値スパイクのリスクを下げる!

これからの時期に食べる、パーティーメニュー、年越しそば、おせち料理、など…各メニューの注意点を解説。

2.安心!ヘルシー!鍋料理で血糖トレンドをコントロール

寒い時期においしい鍋は、実は血糖管理にも最適。おすすめ食材やシメの食べ方を教えます。

3.冬は血糖コントロール悪化のリスク高まる!

血糖トレンド委員会の実施した調査結果などから、冬の血糖変動リスクに関するデータを紹介します。

監修

國枝 加誉(くにえだ かよ)

管理栄養士 
2型糖尿病患者

17歳でやせの2型糖尿病を発症、食健康の重要性を体感し管理栄養士の道へ。「生活習慣病の発症と重症化」双方の予防に重点を起き、フリーランス栄養士として医療機関での栄養相談、講演・セミナー、執筆、栄養士の教育などに従事。2018年11月より、とくだ内科クリニックにて栄養相談・療養相談を担当。

17歳でやせの2型糖尿病を発症、食健康の重要性を体感し管理栄養士の道へ。「生活習慣病の発症と重症化」双方の予防に重点を起き、フリーランス栄養士として医療機関での栄養相談、講演・セミナー、執筆、栄養士の教育などに従事。2018年11月より、とくだ内科クリニックにて栄養相談・療養相談を担当。

※個別のインタビュー取材も可能です。
事務局までお問い合わせください。

1.食べ過ぎがちな年末年始の食事・・・食べ方の工夫で血糖値スパイクのリスクを下げる!

年末年始、いつもよりご馳走を食べたりお酒を飲んだりする機会が増える時期です。塩分が濃いメニューが増えるので、ついつい早食いになりがちで、食べる量がいつもより増えてしまう可能性も。もし食べ過ぎても、カロリー調整のために食事を抜くのは、血糖トレンドの視点からは逆効果!長い空腹時間の後で食事をとると、血糖値スパイクを起こしやすくなります。少量でもバランスよく食べておきましょう。ただ、あまりストイックになりすぎず、食事を楽しむことも大切です。食べ過ぎた翌日は意識して体を動かすようにする、カロリーが少なめの料理を選ぶなど、長い目で見てバランスがとれるような調整を心がけましょう。

【正しい対策のために、知っておきたい「血糖トレンド」】

「血糖トレンド」とは、血糖値を点(ある時点の測定値)ではなく線(連続測定の値)で把握するもので、専用の機器を使って24時間連続測定することにより、血糖値スパイクなどリスクの高い急激な血糖変動を把握することができます。

血糖トレンドに注目! 年末年始メニューの注意点・食べ方のコツ

パーティーメニュー(クリスマス・忘年会・新年会)

バイキング形式なら…お皿に少量ずつ盛り付けて、上手な盛り付けを楽しむ機会に。糖質の多そうなもの(下記参照)はできるだけ最後に食べて、タレ・ソース類など味付けでの見えない糖質に注意しましょう。

コース形式なら…添えのパンなどを最初から食べ過ぎないように。でんぷん質の多い野菜を食べたときは、ごはんやパンの量を減らす

はじめにサラダ

大根やキュウリのスティックサラダなど、かみごたえのある野菜を最初や途中に食べると食べ過ぎ防止に!

マリネやドレッシングなどの甘酸っぱい味付けは甘みが強いので少なめに。マヨネーズは糖が非常に少ないのでOKですが、つけすぎにはご注意を。

芋類やかぼちゃなど糖質の多い野菜を使ったもの、マカロニやパスタのサラダを食べるときは、少量に抑えるか、もしくは、しっかり食べて主食の代わりにしましょう。

ローストビーフ・ステーキ

肉自体は血糖を急激に上げませんが、ソースやタレは血糖が上がりやすく塩分も増えがちなので、量を少なめにするのがコツ。自宅で食べる時はお肉にスパイスを効かせて大根おろしと和えたり、みじん切りの野菜と和えて食べるのがおススメ。

フライドチキン・ローストチキン

フライドチキンの衣は糖質を含みますが、1本に8g程度。食べる量が1〜2本ならそれほど気にしなくてもOK。

ローストチキンは漬け込むタレに糖質が含まれますが、こちらも7g程度。野菜と一緒に食べてバランスを整えましょう

ケーキ・デザート

スポンジケーキ・タルトは糖質が多め。その分ごはんやパンなどの主食の量を減らして調節。ゼリー・ババロア・ムースなどは小さめなら糖質10g程度。どちらもできれば少量か1人前を誰かとシェアすると食べ過ぎを防ぐことができます。

年末の年越しそば

かけそば・天ぷらそば

具材のないかけそばは糖質中心で、吸収が早く血糖値スパイクを起こしがち。わかめ、ネギなどをたっぷり入れて食物繊維を追加したり、天ぷらなどのたんぱく源+脂質の具材を足すことで、消化吸収がゆっくりになり、血糖値スパイクを抑えられます。

年始のおせち、おもち、雑煮

栗きんとん・黒豆

気をつけたいのは甘く煮たもの。かなりの砂糖を使うので、カレースプーン1杯程度に抑えるのがベター。または糖質の少ない人工甘味料を活用して手作りするか、人工甘味料を使用した市販品を活用しましょう。

なます・田作り・かまぼこ

甘さを強く感じなくても、実はでんぷんや砂糖が使われています。食べ過ぎにはご注意を。

もち・雑煮

もちは1個50g でごはん80g(茶碗半膳)と同じカロリーですが、血糖上昇を起こしやすいもち米が原料のため要注意。具沢山の雑煮にするか、食べる前に筑前煮などを食べておくと、食後血糖の上昇を抑えてくれます。

【コラム】 お酒はどう飲んだらいいの?

お酒には、糖質を含みカロリーもある醸造酒(日本酒・ビール・ワインなど)と、糖質の少ない蒸留酒(焼酎・ウイスキーなど)があります。血糖をあげやすいのは醸造酒ですが、どのお酒でも含まれるアルコール量が多いと、肝臓に負担をかけたりエネルギーの取りすぎに繋がったりします。強いお酒は水割りなどにして薄める、途中で水やお茶を挟む、という工夫でアルコール量を減らすようにしましょう。また、ジュースを使うカクテルや、砂糖を多く使う梅酒などの果実酒も、少量を薄めるか避けるのがベター。飲酒量を純アルコールに換算して求めた基準飲酒量は、厚生労働省の健康情報サイト「e-ヘルスネット」に情報があります。

2:安心!ヘルシー!鍋料理で血糖トレンドをコントロール

冬においしい鍋料理。鍋は、ゆっくり食べられること、火を通した野菜をたっぷり食べられることから、血糖コントロールにも最適。血糖トレンドの観点からも、ぜひ取り入れたいメニューです。

血糖トレンドから考える、鍋料理のポイント

おすすめの食材は?

基本的になんでもOKですが、大根ブロッコリーなど火を通しても「かみごたえ」が残る野菜がおすすめ。大根は薄め(5mm程度)の半月切りが火も通りやすく適度な硬さも残ります。

きのこ類は味が染み込みやすい上に低カロリーで使い勝手よし!

中華風の鍋なら、キクラゲをみじん切りにしてつみれに入れたり、細切りを鍋に入れて煮込むと○。
咀嚼(かむ回数)を増やして満腹感を高めます。コリコリとした音も楽しんでくださいね。

また、葉野菜でお肉(つみれ)などを巻いて煮込むと、ロールキャベツのようになります。
翌日のお鍋の残りでも美味しく食べられ、ケチャップやカレー粉を足せば洋風にもアレンジ可能です。

海藻は食物繊維が豊富で血糖上昇を抑えるのに良い食材ですが、煮込むと海藻くさくなるのでさっと湯がく程度で別添えがオススメです。味噌や塩など和風の味付けと相性抜群です。

おすすめのシメ料理は?

野菜やきのこをたっぷり加えた雑炊やリゾットがおすすめ。ご飯を雑穀や麦入りにすると、さらに血糖値スパイクを抑えられます。麺の場合も野菜やきのこ類をプラスしましょう。麺類は食べる量を決めて別添えにし、残った汁を煮詰めてつけ麺風にすると、麺の食べ過ぎ防止にもなります。

3:冬は血糖コントロール悪化のリスク高まる!

血糖トレンド委員会では、今年11月14日の世界糖尿病デーにあたり、糖尿病患者さんおよび糖尿病予備群を対象にした、糖尿病や血糖コントロールに関する意識調査の結果を発表しました。

この調査の中で、季節ごとにありがちな血糖コントロールに影響する行動について、あてはまるかどうかを質問しています。回答の多かったものは、「寒くなると部屋にこもりがちで運動不足になる(46.5%)」「年末年始は外食の機会が多く、ついつい食べ過ぎてしまう(35.6%)」などで、これからの冬の時期には特に、血糖コントロールを悪化させるような行動が増えてしまう傾向があることがわかりました。

また、疫学的なデータでも、冬場は血糖コントロールが悪化するという調査結果が明らかになっています。

最近の研究では、日本国内の2型糖尿病患者さん10万人以上を登録したデータベースを解析した結果、冬(12~2月)は夏(6~8月)よりHbA1cの管理目標値を達成できた割合が低いことがわかりました1)

これからの季節、忘年会やクリスマスのパーティー、年末年始の会食、おせち、新年会、などなど、イベントが何かと増える時期ですが、特に血糖トレンドに注意していく必要がありそうです。

※ HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)とは、過去1~2ヶ月の血糖値の平均を反映し、糖尿病の診断にも使われる検査値です

1) Sakamoto, et al. Diabetes Care 2019 Feb [Epub ahead of print]