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血糖トレンドと食事の関係

KETTO-TREND AND MEALS

執筆・文責:國枝加誉
(血糖トレンド委員会世話人/管理栄養士 2型糖尿病患者)

食事に対する考え方

「食事」は毎日を元気に過ごすために欠かせない、食べる行為の積み重ねです。生きるため、そして体を動かすために必要なエネルギーや、健康を維持するための栄養素を摂取するだけでなく、色・香り・音など五感を使って楽しんだり、大切な人と対話を深めたり、まさに人を良くすると書く「食」の役割は幅広く奥の深いものです。

より良い人生に欠かせない元気の秘訣は、心身の働きをフル活用して全身をくまなく巡る「血管」を健康に保つことです。血管を傷つけ動脈硬化を促進する要素となる高血糖や血糖の乱高下を防ぎ、穏やかな血糖変動を目指すことはとても重要です。でも、技術が進歩し血糖変動が「見える化」されて把握しやすくなった分、血糖値以外の健康に関わる要素、例えば血圧や血液中の脂質を良好に保つなどについても、中期的、長期的な目標を立てることが必要です。「血糖トレンド」を入口に毎日の生活習慣でちょっとした工夫を重ね、色々な面から心身を整えて行きましょう!

血糖変動を穏やかにするために

健康な人では、血糖値はホルモンなどの働きによって、常に一定範囲に収まるように調整されています。血糖値を上げるホルモンは多数ありますが、細胞に糖を取り込んで血糖値を下げるホルモンはインスリンのみ。その分泌されるタイミングや量、その効き方によっては、血糖値がうまく下がらないこともあります。 血糖値を上げる食べ物中の栄養素として糖質が最も知られていますが、それ以外のさまざまな要因によっても変動します(概念図)。現代社会では便利で短時間に調理できる食べ物が浸透するにつれ、食物繊維不足や活動不足など、血糖値を下げる要素が足りていないのが現状です。血糖値を上げる要素を減らすだけでなく、まず血糖値を下げる要素を積極的に増やすことがポイントです。

  • 食事の工夫
    エネルギーや脂質の摂りすぎや夜遅い食事が増えると、内臓脂肪も増えやすく、その結果インスリンの効きにくさ(抵抗性)につながります。また、早食いの習慣は食べ過ぎや食後の高血糖を招きますが、ゆっくりよく噛んで食べる、たんぱく質や野菜のおかずを食べてから大麦など繊維たっぷりの主食を食べるなど、食べ方を工夫するだけでも食後血糖を抑えることができます。
    このように、血糖変動に影響する要素は、食事に関連することだけでもたくさんあります。複数の食材を組み合わせた「献立」を、食べかたを工夫して美味しく上手にいただくという視点が長続きの秘訣です。
  • 食事以外
    運動はなかなか…という方も、生活の中で骨と筋肉を積極的に動かし「生活活動」を増やすことで、血糖上昇を抑えることができます。また、イライラやムカムカが増えると血糖値を上げるホルモンが分泌されます。バランスのとれたリズム良い生活習慣が、安定した血糖変動を支えてくれます。

血糖トレンドに一喜一憂するのではなく、生活全体を考えながら食事のとり方を工夫し、血糖トレンドと上手に付き合っていきましょう。